『小さい頃は、神様がいて』第2話レビュー 夫婦関係に共感し、セリフと歌詞の余韻に浸る秀作ドラマ

ドラマ

第1話で提示された「子どもが20歳になったら離婚する」という約束。
まさか本当にその約束が“生きている”なんて——。
第2話は、過去の傷が元で「自分を取り戻したい」と叫ぶ妻あんの姿が胸が痛む回でした。

「約束まだ生きているんだけど」衝撃の結末からの展開とは?

あの衝撃の一言を言われた後に、眠れない渉(北村有起哉)があん(仲間由紀恵)を誘ってフィアットでドライブ、行きつけの「ジャバ」へ向かう。そこにユーミン曲「リフレインが叫んでる」がインサート。フィアット500乗ってユーミンってトレンディドラマのパロディか。そして2人が向かった先「ジャバ」とは洗車場。ケンカする場所なんだ

※夫婦にはあらかじめローカルルールが存在する。ケンカになりそうな時は、音が他に聞こえない洗車場と決めているんですね。

※約束って何だろう? 法的に有効でもないのに、一方はずっと“契約”として残っていた。こういう場合、離婚事由になるのだろうか?


「どうすんの離婚した後?」

「そんなに嫌なの、俺のこと?」

「離婚は決定事項です」 

北村と仲間の絶妙なやりとり、呼吸と空気感。これがドラマの核となっていてる。

だが会話の中身は辛辣。
「結局、その場しのぎなのよね、あなたは」——この一言が刺さる。
渉の後悔と、妻・あんの覚悟。
20年の時間をどういう思いで生きてきたのか、彼女の言葉が、あまりにリアルで痛い。

草刈民代&阿川佐和子の夫婦、まるで狂言回し

草刈さんと阿川さんの夫婦、どこか現実から半歩ズレた存在感。悠々自適な生活してるしどこか勝ち組。ドラマの中で、視聴者を外の視点へ誘導する“狂言回し”のようにも見える。
会話の端々にある妙な間合いが、演出の狙いなのか、偶然のズレなのか。
マンションの作りや間取りもどこか非現実的で、まるで舞台装置のよう。

衝撃の「約束」が呼び覚ます20年の溝

あんが別れたい!と言ったのは下の子が生まれたばかりの時のネグレクト寸前の時だと回想シーンで判明。子育てで自分の人生を送れてないと。子供が20歳になったら別れて自分の人生を送ると。

そして翌日の朝食シーン
仲間由紀恵さん、久々に「コメディエンヌ」としてのキレが光る。
セリフ、表情の切り返し——すべてが秀逸。

シリアスの中にふっと笑いを差し込む絶妙なバランス。
この“抜き”があるからこそ、後半の重みが活きる。


渉の勤めている会長(角野卓造)が登場 ゼネレーションギャップのわかりやすい体現者。老害です。この辺り、笑わせたいのか?中途半端で笑えなかった。
TBS「じゃあ。あんたが作ってみろよ」でも似たようなモラハラ、時代錯誤の構図が描かれている。このような男性はすでにだいぶ減ったかと思いきや、まだ当たり前にいるよってことですかね。

テンポは遅いけど「間」で語る演出

ワンシーンワンシーンがとにかく丁寧。
セリフの行間を“見せる”ことにこだわった演出は美しいが、テンポが悪く感じる部分も。
良く言えば“余白を味わう”タイプ、悪く言えば“間延び”。
でもこの“間”こそ、岡田作品の魅力かもしれません。もしくは演出チームの狙いか。

また三部屋の集まり。今度は慎一の家。

ちょいちょい切り返しのカットのお芝居が合ってない。離婚話が本当かどうか。
1話でも気になった。無理やり盗んで人物越しのカットが入ったり、盗みすぎで若干わざとらしい。(盗むとは:撮影の時に、実際の立っている場所ではなくカメラで見ていいところに役者さんを動かすこと。)越し、ナメが多く顔のヨリが少ない。あえてなんでしょうか。私にはわかりませんでした。いまひとつ洗練されていない編集でした。

2話のラスト近くまで見て、これってコメディホームドラマなのかと理解。

娘・ゆず役の近藤華が光る!

娘役・近藤華さんが素晴らしい。
まだ18歳なのに、家族の空気をしっかり受け止めて立っている。
調べると、菅田将暉さんの楽曲「ギターウサギ」MVでは14歳で脚本・アニメ・小道具を担当!
菅田さんが「その熱量とセンスに背筋が伸びました。」と語るのも納得の才能。
逸材見つけた気がします。これからチェックですね。

“自分に戻りたい”というリアル

この物語の核心は、夫婦の問題というより“自分の人生を取り戻す”ということ。
あんは、夫が嫌いなのではなく、「母」以外の自分をもう一度取り戻したい。
それに気づかない、理解できない渉。
観る側も、思わず自分を重ねてしまうはず。

まとめ

第2話目にして、ようやくこのドラマが「コメディ×ホームドラマ」であることが腑に落ちた。
ほろ苦く、現実の痛みを伴う中にも笑いはある。憎悪の関係ではないからこそのリアル。
そして、岡田惠和×松任谷由美の世界観は相性が良い。肩の力抜いて鑑賞しつつ、ふと我に返る瞬間があるドラマ。セリフ、歌詞の行間をふと思い返して余韻に浸れる。

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