北村有起哉主演 × 岡田惠和脚本 × 松任谷由実主題歌。
静かに心に沁みるコメディホームドラマの幕開け。
脚本・キャスト・音楽の魅力が揃った新ドラマ
「最後から二番目の恋」シリーズの脚本家・岡田惠和さんが手がける新作。
主演は北村有起哉さん。これが意外にも初のゴールデン・プライム帯主演とのこと。
そして主題歌は松任谷由実。タイトル「小さい頃は、神様が」は、ユーミンの名曲『やさしさに包まれたなら』の一節から。
さらに新曲『天までとどけ』が書き下ろされ、世界観を包み込むように流れます。ユーミンって豪華だな。
北村有起哉×仲間由紀恵、リアルで絶妙な夫婦の空気
北村さんといえば、渋くてどこかクセのある俳優。喋り方も独特ですよね。人をイラつかせると言うか、突っ込む役にはピッタリで脇を固める印象が強いですが、主演で存在感を醸し出してます。
彼が演じる渉と、仲間由紀恵さん演じる妻・あん、末っ子のゆず(近藤華)の朝ごはんシーンから物語は始まります。
「ジャム、捨てとくね」と言いながらシンクに置く妻。
――これ、あるあるすぎる。主婦が食事も洗い物も当たり前にやる前提。
そういう日常の小さなすれ違いが、やがて大きな亀裂を生むんですよね。
この「わかる…」と思わせるリアリティが、岡田脚本の真骨頂。
※長い夫婦生活、こういう繰り返しが突然爆発するのを経験した筆者としては身につまされます。こういう男って本当わかってないんですよ。しかも何度言われても忘れるね、大概。
「たそがれハイツ」に住まう人々
渉の住むアパート「たそがれハイツ」には、
1階に暮らす慎一(草刈正雄)と妻さとこ(阿川佐和子)、
そして同性カップルの奈央(小野花梨)と志保(石井杏奈)が住んでいます。
嵐の夜、3組が渉の家に集まり、一晩を共に過ごす。
いわば“閉じ込められた空間の会話劇”。
登場人物の紹介と関係性を自然に描く構成は、脚本的にもさすがです。
ただしコメディ要素は控えめで、あくまで“ほのぼのホームドラマ”のトーンです。
※ドラマとしては自己紹介と設定の確認。空間と時間を限定すると緊張感や心理戦、会話劇の妙が生まれやすい構造。そしてボトルエピソードと言い、既存セットを使い、登場人物の香盤も楽、そして予算を抑えられる。
「子どもが二十歳になったら離婚」——サラッと重く刺さるラスト
渉が軽く口にした「うちも、子どもが二十歳になったら離婚するなんて言ってたこともありましたよ〜」という一言。
ところが、妻のあんが静かに言い放つ。
「生きてるんだけど、あの約束」
「そのつもりで、ずっと生きてきたんだけど」
スマホのロック画面を見せながら淡々と。
このシーン、リアルだったら怖すぎる。
そこまでするやついないだろ!でも妙に説得力がある。「女性の覚悟」と「男性の鈍感さ」の対比が痛いほど生々しい。
今後の展開予想と見どころ
岡田惠和脚本作といえば、「最後から二番目の恋」のように、
人と人との関わりが日常の中で少しずつ変化していくタイプ。
この「たそがれハイツ」でも、それぞれの人生が交差しながら、
温かくも切ない群像劇になっていく予感。
長男・順(小瀧望)は“天使のような男子”として登場予定。
そして、同居していない設定も気になります。
それゆえに物語を大きく動かす転換人物になるかもしれません。
タイトル「小さい頃は、神様が」の意味とは?
子どもの頃は信じていた“何か”を、大人になってからどう扱うのか。
このタイトルがどう回収されるのか——次回以降が楽しみです。
まとめ
- 思いきり笑えるコメディではない、静かなホームドラマ
- ユーミンの楽曲が刺さる人にはたまらない世界観
- 仲間由紀恵さん演じるあんはどうして離婚したいのか?
温かさと痛みが同居する、まさに“岡田惠和ワールド”の新章。
第2話も期待です。

